弱視の治療の1つ 健眼遮閉
以前、弱視について書きました。

今回は、弱視のなかの1つ、不同視弱視の治療方法について書いていこうと思います。
不同視弱視と診断され、片眼をかくすよう医師から指示がでている子どもをもつ保護者にむけて書いていきますね。
不同視弱視とは
不同視とは、いわゆる、がちゃ目のことです。
右と左の眼の度数に差がある眼のことをいいます。
子どものときに不同視があると、度数の弱い方の眼が優位になり、度数の強い方の眼が正しく発達できなくなります。
適切な時期に、正しい治療をしないと度数の強い方の眼は弱視となってしまいます。
不同視弱視の治療
①眼鏡かける
治療の第一歩は眼鏡をかけること。
眼の正確な度数を調べて、眼鏡を装用します。
眼鏡をかけるだけで視力が正しく発達することもありますが、不同視弱視はちょっと手強いです。
度数の弱い方の眼が優位に立ちすぎていて、眼鏡をかけただけでは度数の強い方の眼の視力が伸びてきません。
そこで、次のステップに進みます。
②健眼遮閉
視力のいい方の眼(度数の弱い方の眼)をお休みさせるのです。
度数の弱い方の眼をアイパッチでふさぎ、眼を使わせないようにします。
そうすることで、度数の強い方の眼を強制的に使わせるのです。
度数の強い方の眼を積極的に使わせることで、視力の発達を促します。
健眼遮閉をすることで、視力はじょじょに伸びていきます。
健眼遮閉の注意点
①片眼で見るので危険
アイパッチをしている間は視野が狭くなります。
また、遠近感もとりにくくなります。
子どもは見えにくい方の眼で見なければならなくなります。
なので、健眼遮閉をしているときは外でアクティブに遊ぶより、室内で絵本やお絵かき、ゲームなどをすることをおすすめします。
②ストレスになる
見えにくい眼で見ること、片眼をかくすので見た目が悪いことなど、かなりストレスがかかります。
保護者にはそのストレスを受け止めてもらいます。
将来、両眼がちゃんと見えるように大事な治療をしているのだ、とお話してあげてください。一緒に頑張ろうと、励ましてあげてください。
③遮閉時間は守る
アイパッチをする時間は医師の指示通りにしてください。
決められた時間をちゃんとやりましょう。
短すぎると効果はでません。
長すぎると今度はアイパッチをしている方の眼が弱視になってしまうこともあります。
決められた時間を守り、定期的に通院しましょう。
④皮膚がかぶれる
子どもの皮膚は弱く、目のまわりの皮膚は柔らかいので、毎日アイパッチを貼っていると目のまわりがかぶれることがあります。
そんなときは、アイパッチの貼る面積を小さくしたり、貼る位置を毎回少しづつずらしたりと工夫するようにしてください。
かぶれがひどく、アイパッチが困難な時は眼鏡を覆うタイプのパッチもあります。布パッチを使用するときは、スキマができないよう眼に光が入らないようしっかりと覆いましょう。
眼帯ではダメなのか?
基本的に眼帯ではやらないように指示をしています。
眼帯で確実に目をふさぐことができ、光が入らない状態が作れれば大丈夫なのですが、眼帯はズレます。
子どもは見やすい方の眼でものを見たがります。
眼帯をズラして見ようとするので、それでは治療になりません。
なので、健眼遮閉に眼帯はおすすめしていません。
不同視弱視の予後
不同視弱視は比較的、治療予後がよい弱視です。
適切な時期に正しく治療をすれば視力は伸びていきます。
治療中は本人も家族もストレスが多いとは思いますが、視力が安定するまでがんばりましょうね。