心因性視覚障害 子どももストレスがあるのだ

子どものこと

今どきの子どもは忙しい

塾、習い事、友人関係、両親の離婚等、さまざまな原因で子どももストレスを抱える時代になりました。

昔にくらべ圧倒的に習い事の種類が増えたり、友人関係はSNSなどが絡んできて複雑になってきています。
現代の子どもは何かと大変です。

そんな子どものストレスが目にくる病気があります。
「心因性視覚障害」といいます。今回はそんなはなし。

心因性視覚障害とは?

心因性視覚障害とは、精神的葛藤や欲求不満の象徴的表現として視覚に異常を訴える疾患です。(視能矯正学より)
子どものストレスが「何か見えにくいかも」という形で表されているのです。

イメージしにくいかもしれませんね…。

学校に行くのが嫌で頭が痛くなったり、マラソン大会が嫌でおなかが痛くなったり…みたいなものですかね。

どんな症状?

代表的は症状は、視力低下や視野障害などです。

視力低下

学校の健診などで引っかかってくるパターンが多いです。
ずっとA判定だったのに、突然CやD判定をもらってきて、慌てて保護者が眼科に連れてきます。

このとき、本人が視力低下を自覚していることは少ないです。

日常でも見にくい素振りはみせません。ただ、視力検査をすると0.1~0.5くらいなのです。

この病気は、普通に視力を測っただけでは視力はだせません。
特殊な方法を用いると視力が1.0がでるのです。

トリック法やレンズ打消し法などと呼ばれるテクニックがあります。
この方法を駆使し、子どもに「見えるようにレンズを入れるからね。」などと暗示をかけつつ視力を測ります。
視能訓練士の腕の見せ所です。

視力をだすことができたら心の中でガッツポーズします。反対に視力をだせないまま終了してしまうと心の中で泣きます。

視野障害

求心性視野狭窄(極端に視野が狭い状態で、視野の中心部しか残っていない。)や、らせん状視野(この病気の特徴的視野であり、渦巻きのような結果になる視野。)など。

どんな子がなりやすい?

心因性視覚障害は、年長~小学生の多い疾患で女の子の方が多いです。
この病気になる原因はさまざまあります。

具体的にあげてみると…
● 弟や妹がいる→母親が下の子に付きっきりで、もっと自分を見てほしい願望
● 苦手な科目がある→その科目のときだけ見にくいと訴える
● 両親の離婚→突然の生活環境の変化に追いつかない
● 眼鏡をかけたい→友達が眼鏡をかけていて、自分もかけたい
● 友人関係がうまくいっていなくて、学校に行きたくない など

ちょっとしたことでも、子どもにとっては大きなことであり、それをうまく自己処理できず、その結果として視覚障害として表れ、大人に気づいてもらおうとしています。

治療方法は?

治療は、原因となるストレスを取り除くこと。これが1番です。
そのためにはたくさんの話を聞きます。
「学校は楽しい?」
「兄弟はいる?」
「眼鏡は好き?かけてみたい?」
「いつも何して遊んでいるの?」など話の中から原因を探ります。

また、抱っこ点眼も有効です。「見えにくいのが治るように目薬つけようね。」と言いながら、母親の膝の上で目薬をつけるのです。
それだけなのですが、結構効きます。母親の愛と少しの暗示です。

心因性視覚障害は大人に気づいてもらいたい子どもからのSOSですので、もしこの病気と診断された場合はしっかりと子どもと向き合ってみてください。

ストレスが深く大きすぎる場合は眼科だけでなく、カウンセラーなどプロにお願いすることもあります。

予後は良いので原因が解決されれば視力は通常に戻ります。

子どもにストレスを与えないよう、保護者の方はしっかりと見守りましょう。

 

 

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