頭痛 吐き気のとき
「頭痛、吐き気がする。」
このような症状がでたとき、みなさんは何科を受診しますか?
内科?それとも脳外科?
どちらも正解です。
そして、CT・MRIなどの精査をして原因を探します。
特に異常がなければ痛み止めや吐き気止めを処方されるかと思います。
内科や脳外科で原因が特定されなかったときはどうしますか?
そのまま、薬を飲んで様子をみますか?
原因が目にあることも
もし、原因が分からなかった場合、その頭痛の原因、眼からきているかもしれません。
頭痛・吐き気で眼科を受診しようと思う人は少ないと思います。
が、そういう眼の病気あります。
知ってて損はないですので、お付き合いください。
急性緑内障のはなし
その病気、急性緑内障発作といいます。
症状は頭痛、眼痛、悪心、嘔吐、視力低下、充血など。
高齢の女性に多く、片眼に起こることが多いです。
眼圧をコントロールしている房水の流れが悪くなり、眼圧が急に高くなり起こります。
房水の出口(隅角といいます。)が塞がると、眼圧は高くなります。
正常値は10~21mmHgと言われている中、発作が起きると40~80mmHgとかなり高くなります。もともと隅角が狭い(閉塞隅角緑内障)タイプの緑内障で起こります。
出口が狭いの上に、何かしらのきっかけで出口が塞がってしまい、房水が流れなくなってしまいます。きっかけはいくつか考えられています。
身近なきっかけは、うつぶせ寝。
うつ伏せをしていると、眼の中にある水晶体が後ろから隅角を押してしまい、隅角が塞がってしまいます。
また、瞳孔が広がること(散瞳)もきっかけの一つです。
瞳孔が広がると隅角が狭くなるので、発作を起こしやすくなります。
暗闇だと自然に瞳孔が開くので発作が起きることがあります。
上記2つのきっかけが同時におこりやすい、夜間・寝ているときに頭痛や吐き気がおこり、救急外来を受診することが多くなります。
もう一つ、きっかけがあります。
眼科で眼底検査をするときに散瞳薬を使用しますが、隅角が狭いタイプの人はその点眼に注意が必要です。点眼後、眼圧が急上昇する場合もあります。
これは、私たち視能訓練士や看護師が医師の指示をきき、点眼しなければなりません!医療側が気をつけることになります。
急性緑内障発作かなと思ったら…
実際、夜間に寝ているときに発作を起こすことが多く、救急に駆け込むパターンが多いです。夜間に頭痛や吐き気を同時に感じたら、内科、もしくは脳外科に駆け込むのではないでしょうか?高齢の女性に多いとされていますが、具合が悪く吐いている状態だと、家族にうまく症状を伝えきれない可能性もあります。視力低下を自覚していても、それどころではありません。
眼が原因で頭痛・吐き気も起こることがある!
ということをちょっとでも思い出していただけたら幸いです。
治療は眼圧を下げること。点眼、点滴、内服薬などを使用し、とにかく眼圧を下げます。
また、レーザー治療もあります。水の流れを良くするために行います。
狭い隅角を改善させるため、白内障の手術をすることもあります。
隅角が開き、眼圧が下がると症状は落ち着きます。塞がってしまった隅角が自然に開く場合もありますし、何回も繰り返すこともあります。
頭痛や吐き気を繰り返していて、内科や脳外科で原因不明だった場合、眼科も受診するようにしてください。早めに対処しないと、視力低下してしまいますので、お気をつけください。