患者さんからよくある質問
視力を測定しているとき患者さんからよく聞かれる質問があります。
「眼鏡をかけると目が悪くなるんですよね?」
この質問、本当に多いんです!
眼鏡をかけようかどうしようか迷っている方によく聞かれます。
軽めの近視の眼の方が多い印象です。
「裸眼だと何となく見にくい。眼鏡をかけるとはっきり見える!でも眼鏡をかけ始めると目が悪くなるってよく聞くし…。」という葛藤。
よくわかります。
結論を言ってしまうと、「眼鏡をかけたからといって目は悪くなりません。」です。
日々の診療中はどうしても時間が限られ、次々と患者さんの検査をまわさなければならないので、上記の一言で返事をしてしまうことが多いです。
が、もっと丁寧にわかりやすく説明できたらなーと思い今回は質問に答えるようなかたちで書いていこうと思います。
なぜ眼鏡をかけると目が悪くなると思われているのか?
なぜ眼鏡が悪者にされるのか?
それは、「眼鏡をかけると近視がどんどんと進んでしまう。」と思われているからだと推測されます。
・小学生や中学生の頃に近視があり、眼鏡をかけ始めたらどんどんと近視がすすんでしまった。
・毎年の視力健診でひっかかり、そのたびに眼鏡の調整をしていた。
・眼鏡を変えたばかりなのにC判定。
みたいな経験はないでしょうか?
私は実際そうでした。
小学校3年生のときに眼鏡をかけ始め、その後は毎年のように眼鏡の調整をしていました。高校生になり近視の度数が安定するまで続きました。
子どもの頃の近視は進むものです。
「眼鏡をかけると近視が進む」は正直、正しくないです。
眼鏡をかけて近視がすすむ方は進みますし、すすまない方は進みません。
近視がすすむ原因
では、近視がすすむ原因はなんなのでしょうか?
ざっくりと2つあります。
長時間の近業
近視がすすむ原因として1番考えられるのが長時間の近業です。
ゲーム、スマホ、パソコン、読書、宿題に受験勉強など、近くを見る作業が子どもも大人も多いです。
子どものゲームに対する集中力ってすごくないですか?
いつまーでもやっていませんか?
おばちゃんのビックリポイントはディズニーランドでアトラクションの待ち時間にもゲームをしているということ。
夢の国まできてもゲームかいっ!そこまでしてゲームをやりたいのかー!
夢の国の景色を楽しまず、DSとにらめっこ…
そりゃー近視がすすむわけだよ!と思ってしまいます。
長時間、近くを見続けていると目は近くを快適に見るために近視化させていきます。近視化するということは、目玉の奥行(目の長さ)がどんどんと長くなっていくということ。
近視の眼鏡は遠くをはっきりと見るためにかけます。
遠くを見るためにピントを遠くに合わせているのにその状態で近くと長時間見続けるとさらに近視化し、度数がすすんでいくのです。
近業が好きな方はしょうがないですね。
遺伝もある
そんなに近業はしていないのに近視がすすんでいくという方もいます。
そんなときは両親は近視ではなかったか?思い出してみましょう。
おそらく誰かは近視があるはずです。
親に似たんだなと思いましょう。
親が近視の目をしていると子が近視を受け継ぐ可能性はあります。
遺伝的な原因であればしょうがないので、受け入れましょう。
私も母からしっかりと受け継ぎました…(ノД`)・゜・。
眼鏡をかけるとよく見える
近視の人が眼鏡をかけると遠くがはっきり、くっきり、すっきり見えるようになります。
かけるとはっきり見え、眼鏡を外すとぼやけます。
近視の眼鏡はわかりやすいんです!
今まで裸眼でぼやけていた見え方があたり前と思っていたのが、眼鏡をかけることですっきりと遠くまで見えるようになります。
「世の中ってこんなにはっきりと見えるんだ!」と感動し、はっきり・くっきりとした見え方を脳は記憶します。
眼鏡の状態に慣れてしまうと、今度は眼鏡をかけたはっきり見える状態があたり前になります。
で、眼鏡を外してみるとぼやけて見える…そのギャップに驚き、「眼鏡をかけたから目が悪くなった。」と感じるんだと思います、たぶん。
お母さんの作るシャバシャバのカレーが世界一おいしいと思っていたのに、洋食屋さんでシェフの作るカレーを食べ衝撃を受ける!
で、「おふくろのカレーは不味くてもう食えねーよ!」みたいな感じ…。
例え話としてあっているかな?(;^ω^)
いいものを知ってしまうとそれまで大丈夫と思ってたものが嫌になる感じです。
眼鏡をかけても目は悪くなりません
実際に患者さんの視力を測定してみると、眼鏡をかけ始める前とかけ始めた後の裸眼視力を比較してもそんなに変化していないです。
数字だけみれば同じくらいで、裸眼視力が極端に下がっていることは少ないです。カルテ上はね…。
ただ、いい見え方を知ってしまったので、昔の状態は受け入れがたい…という感じですね。
眼鏡のせいではありません。
はっきりと見える新しい見え方に脳が慣れちゃっただけなのです。
なので、眼鏡を作ろうか迷っているあなた、1つ作っておくことをおすすめします。
そして、必要なときに使いましょう!